[ハノイ発 (ドイツ通信社dpa)]ベトナム南部から中部にかけての沿岸部の漁村には、クジラの精霊を祀り、海での安全や豊漁を祈願する「クジラ寺」が多数存在する。
ベトナム中部沖のリーソン島にある寺院の石段から体長6メートルのクジラが埋められた巨大な塚に視線を向けるのは、84歳のグエン・コーさん。しわだらけの顔に満面の笑みを浮かべている彼は、島のクジラ信仰のリーダーである。
赤地に金色の模様が入った伝統的なアオザイを着たコーさんによれば、「クジラは海で嵐に巻き込まれた漁師を助けることがある」という。「クジラは海の神だと信じられている。頭がよく、溺れそうな人を助けてくれる。だからここの漁師はクジラを捕まえたり、食べたりしない」
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