海の神:ベトナムの漁師に伝わるクジラ信仰

2022年7月31日
エリア: アジア
赤と金のアオザイで正装したグエン・コーさん (C)Chris Humphrey/dpa
ベトナムの漁村にはクジラを海の神として信仰する文化がある。起源には諸説あるが、18世紀のザーロン帝が航海中に嵐に見舞われ、クジラに救われたことから始まったともいわれる。そのクジラ信仰に今影響を及ぼしているのがプラスチックゴミだ

[ハノイ発 (ドイツ通信社dpa)]ベトナム南部から中部にかけての沿岸部の漁村には、クジラの精霊を祀り、海での安全や豊漁を祈願する「クジラ寺」が多数存在する。

 ベトナム中部沖のリーソン島にある寺院の石段から体長6メートルのクジラが埋められた巨大な塚に視線を向けるのは、84歳のグエン・コーさん。しわだらけの顔に満面の笑みを浮かべている彼は、島のクジラ信仰のリーダーである。

 赤地に金色の模様が入った伝統的なアオザイを着たコーさんによれば、「クジラは海で嵐に巻き込まれた漁師を助けることがある」という。「クジラは海の神だと信じられている。頭がよく、溺れそうな人を助けてくれる。だからここの漁師はクジラを捕まえたり、食べたりしない」

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