【Analysis】イランで高まる「水不足」と「環境活動家への弾圧」

2022年10月10日
エリア: 中東
イラン北東部ゴレスターン州発生した鉄砲水の際、トラクターで移動する人々[2019年3月25日](C)REUTERS
洪水や干魃、熱波などの自然災害が多発しているイランだが、気候変動対策に無関心な政府によって環境リスクは増すばかりだ。とりわけ深刻なのが水不足。環境活動家は声を上げるものの、「西側のスパイ」との容疑をかけられ弾圧される者が後を絶たない。

[ロンドン発(トムソン・ロイター財団)]イランはこの1年強、甚大な被害をもたらす鉄砲水、穀物をだめにする干魃、苛烈な砂嵐、気温を摂氏48度まで押し上げる熱波の苦しみにさらされてきた。地球温暖化が進めば、こうした被害はさらに酷くなるだろう。

 しかし、イランの被災者にとって救済の道はひどく険しい。

 イエメン、リビア、エリトリアと並んで、イランは2015年に締結されたパリ協定(京都議定書に代わる、2020年以降の温室効果ガス排出削減等のための新たな国際枠組み)に批准していない 4つの国の1つである。国際的な孤立と、環境リスクに対する政府の取り組みの欠如から、イランで気候変動の脅威を減らす対策を取ること、被害に対処すること、国民を災害から守ることは極めて難しくなっている、と専門家らは語る。

カテゴリ: 環境・エネルギー
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