胡錦濤の強制退場で習近平「闘争安全」時代の幕が開く

執筆者:城山英巳 2022年10月28日
習近平党総書記によって退場を余儀なくされた胡錦濤前党総書記(C)AFP=時事
胡錦濤の強制退場という衝撃的な一幕は、「習近平3期目」が長老にも有無を言わさぬ恐怖政治になることを内外に印象付けた。イエスマンで固めた政治局人事と、台湾統一の野望は、改革開放の終焉と闘争安全時代の幕開けを告げた。

 

 10月22日、北京・人民大会堂で開かれた第20回共産党大会閉幕式――。

 胡錦濤前党総書記(79)習近平総書記(69)左隣の席から強制的に退席させられた。国営新華社通信が伝えた「体調不良」は事実としても、前皇帝すらも消されるという、「中南海」の奥で繰り広げられるべき「宮廷政治劇」が外国メディアのカメラに写され、SNSを通じて世界に広がった。

 異例の3期目に入った習近平体制の新指導部にブレーキ役は不在である。日本を含めた国際社会も覚悟を求められる。

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執筆者プロフィール
城山英巳(しろやまひでみ) 北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院教授。1969年生まれ。慶應義塾大学文学部卒業後、時事通信社に入社。中国総局(北京)特派員として中国での現地取材は十年に及ぶ。2020年に早稲田大学大学院社会科学研究科博士後期課程修了、博士(社会科学)。2010年に『中国共産党「天皇工作」秘録』(文春新書)でアジア・太平洋賞特別賞、2014年に中国外交文書を使った戦後日中関係に関する調査報道のスクープでボーン・上田記念国際記者賞を受賞。著書に『中国臓器市場』(新潮社)、『中国 消し去られた記録』(白水社)、『マオとミカド』(同)、『天安門ファイル-極秘記録から読み解く日本外交の「失敗」』(中央公論新社)、『日中百年戦争』(文春新書)などがある。
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