プーチンは、トランプが「1日で」戦争を終わらせると約束したことを知っている
Foresight World Watcher's 5Tips
今週もお疲れ様でした。米大統領選は15日に共和党の大統領候補指名争い初戦となるアイオワ州党員集会が開催され、いよいよ本番が始まりました。結果はご存じの通りトランプ氏が大差の勝利を獲得しましたが、国際社会はこれをどう見たか。
「指導者たちは今、1年後にドナルド・トランプ前米大統領が実際にホワイトハウスに戻ってくる可能性に目覚め始めている」ため、同盟国や敵対国は次の2つの対照的な“ディール”を折り込み始めている、と論じるのは米フォーリン・アフェアーズ(FA)誌に寄稿したハーバード大ケネディ・スクール教授のグレアム・アリソンです。「対照的」とはすなわち、トランプの帰還に期待した「待ち」か、もはや悪いシナリオへの対策を始めるか。
「待ち」にメリットを見て取る代表格は、ロシアのプーチン大統領かもしれません。アメリカのウクライナ支援予算は底をつき、追加予算をめぐる与野党の交渉も難航中です。米ニューヨーク・タイムズ紙は昨年末、プーチン大統領が停戦に関心を示していると報じましたが、ウクライナ関与に後ろ向きなトランプ氏が政権に戻ってくるなら停戦を先延ばしした方が有利に交渉できる可能性が高まります。バイデン政権の外交面でのレームダック化が懸念されるところです。
フォーサイト編集部が週末に熟読したい記事、皆様もよろしければご一緒に。
What Is Taiwan's New President Going to Do About China?【Timothy S. Rich/Foreign Policy/1月17日付】
2024年は世界的に「選挙の年」になると言われてきたが、さっそくそれを実感させるニュースが続いている。1月13日に行われた台湾の総統選・立法院選(総選挙)についてはすでに多くが語られるなか、米英メディアにも興味深い分析が登場してきた。
米「フォーリン・ポリシー」誌サイトに1月17日付で掲載された「台湾新総統は中国にどう対処するのか?」は、米ウェスタン・ケンタッキー大国際世論研究所の所長で同大教授のティモシー・S・リッチが、独自に台湾で行った世論調査をベースとする論考だ。
「台湾の政治全般、特に今回の選挙の底流にあるのは、中国との対立激化の可能性だ。長期的な傾向として、国民はますます台湾人であることを認識し、統一にはあまり関心を示さなくなっている。今後の中国や世界との関係を考えるうえで重要なのは、頼[清徳次期総統]政権は強気の姿勢を取る一方で、対立を招かないようにしなければならないということだ。[中略。立法院で第3党となった新党]民衆党の立法院での議席シェアが上昇して与党[民進党]が単独過半数を得られなかったことにより、新政権の[対中]政策はより穏健になる一方、頼が中国に対して厳しいレトリックを使うようになる可能性がある」
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