【ブックハンティング】情報技術が加速させる「将棋の真理」の追求

執筆者:高橋和 2009年8月号
タグ: アメリカ 日本

「実は将棋には闘争心はあまり必要ないと思っているんです。戦って相手を打ち負かそうなんて気持ちは、全然必要ないんですよ」 これは本書に出てくる羽生善治四冠の言葉である。プロであるということは勝つことが何より大事であり、そのための闘争心は必要不可欠にもかかわらず、それを真っ向から、しかも将棋界トップの羽生四冠が否定しているなんて……私は久しぶりにしばらく動けなくなるほど強い衝撃を受けた。 将棋とは日本における「勝負」の代名詞とも言える存在だ。「勝負がある。そこに人間模様や人生が見える。だから将棋は面白い」。この方程式があるからこそ、日本人は将棋を身近に感じ、魅了されるのだと思ってきたが……どうやらこの考えは時代錯誤になってしまったらしい。

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