
外交・安全保障政策の総合調整を担う秋葉剛男国家安全保障局長(66歳、1982年入省)の後任に、岡野正敬外務事務次官(60歳、1987年入省)の起用がほぼ内定した。政府関係者が明らかにした。岡野氏は早ければ今夏にも局長に就任するが、交代時期は決まっておらず、来年に先送りの可能性もある。
安倍晋三政権下の2013年12月に日本版NSC(国家安全保障会議)が、翌14年1月にその事務局である国家安全保障局(NSS)が発足して以来、岡野氏は谷内正太郎、北村滋、秋葉各氏に次いで4人目のNSS局長となる。
秋葉氏は外務次官を過去最長の3年半務めた後、2021年7月に国家安全保障局長に就任。すでに外務省の同期は皆引退している。ただ、1987年入省の岡野氏は他省庁の一部次官より若く、国家安全保障局長は各省庁を束ねる役割を持つことから、霞が関の論理によって交代が遅れる可能性もあるという。
しかし、政府筋は「秋葉氏も岡野氏を後任に推薦しており、秋葉局長の後任が岡野氏であることは間違いない」と指摘した。外交に疎い石破茂首相は人事に関心がないが、政権の後ろ盾である岸田文雄前首相が岡野氏のNSS局長起用を支持しているようだ。
岸田政権時代から霞が関の「次官2年ルール」が定着しており、岡野外務次官も今年夏で2年になる。
皇后と同期入省、岸田氏が評価
岡野氏はフレンチスクール出身で、ソフトなイメージながら、胆力と統率力に定評がある。内閣官房副長官補としてG7(主要7カ国)広島サミットを取り仕切り、岸田氏の引きで外務次官に就任した。

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