
[ロイター]規制案の詳細について解説する。
制限対象となる半導体
新たな規制案ではGPUの輸出が制限される。GPUは画像処理を高速化するために開発されたプロセッサだ。負荷が高いゲーム用途として利用が広がったが、大量のデータを並列処理できる能力はAIモデルの開発や改良に不可欠であり、米エヌビディアが圧倒的なシェアを握っている。必要な数は性能や使用されるデータ量、モデルの規模、トレーニングにかける時間にもよるが、たとえばOpenAIのChatGPTの改良には、数万基のGPUが使われている。
規制の内容
AIモデルのトレーニングには、高度なGPUを多数接続した「GPUクラスター」が使われる。米国は、こうしたクラスターを構築する高度なGPUの規制を強化している。新たな規制案では個々の半導体チップの性能差を考慮し、輸出できる演算能力の総量に上限をかける。演算能力を測る指標には総処理性能(TPP:Total Processing Performance)が用いられ、2027年までに合計7億9000万TPPに制限される。ワシントンに拠点を置くコンサルティング会社Beacon Global Strategies(ワシントン)のAI専門家、ディヴィヤンシュ・カウシク氏によれば、7億9000万TPPはエヌビディアの主力モデル「H100」の約5万基分に相当する。
「H100の5万基分は膨大な処理能力だと言える。最先端の研究を支えるのにも、AI企業を丸ごと経営するのにも、最高レベルの負荷がかかるAIアプリケーションの運用にも十分な水準だ」とカウシク氏は指摘する。たとえば世界規模のチャットボットサービスの運営や、アマゾンやネットフリックスのような大企業向けにリアルタイムの不正検知やパーソナライズされた「おすすめの表示」を管理するなどにも不足はない。
そしてこの上限は、実は

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