国会で「台湾有事=存立危機事態」と明言
11月10日月曜日、午前10時前。衆議院・予算委員会はある種の緊張感に包まれていた。
立憲民主党・大串博志委員「撤回や取消しはされないということで、総理、よろしいですか」
高市早苗総理「政府の従来の見解に沿ったものでございますので、特に撤回・取消しをするつもりはございません」
野党第一党の立憲民主党の中でも理論派として知られている大串が取り上げたのは、先週の予算委員会初日(11月7日)にあった台湾有事における「存立危機事態」に関する高市の発言だ。
立憲民主党・岡田克也議員「どういう場合に、存立危機事態になるのかお聞きしたい」(11月7日衆院予算委員会)
立憲民主の岡田克也元外務大臣は、去年の自民党総裁選で高市が「中国による台湾の海上封鎖が発生した場合」について問われた際に「存立危機事態になるかもしれない」と発言したことを取り上げて、認識をただした。岡田の問いに対して高市はこう答えた。
高市「やはり戦艦を使ってですね、そして、武力の行使を伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になりうると考えます」
現職の総理が、中国が台湾に武力行使した場合には平和安全法制(いわゆる安保法制)の「事態対処法」に規定される存立危機事態に該当すると国会の場で発言したのだ。
内心では“踏み込みすぎた”ことを反省?
そもそも存立危機事態とはどういった状態を言うのだろうか。
これは2015年の事態対処法の改正で、集団的自衛権行使のため新たに用いられた要件の1つで「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険」な事態をさす。
存立危機事態に至ったと政府が判断した場合、集団的自衛権の行使=自衛隊に対する防衛出動の下令が可能となる。歴代総理はいわゆる台湾有事が存立危機事態に当たるかどうか明言を避けてきた。
「台湾有事は日本有事」などと発言したこともある安倍晋三元総理も「存立危機事態」の具体的なケースについての言及は避けていた。
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