“博打解散”を決めた高市総理、真の狙いは「脱・麻生支配」?

執筆者:永田象山 2026年1月15日
タグ: 高市早苗 日本
総理の独断専行に自民党幹部らは苛立ちを募らせている[首相官邸に入る高市総理=2026年1月9日、東京](C)時事
高市総理が通常国会冒頭での解散を決断したのは、もちろん高い内閣支持率を追い風に自民党の議席を増やすためだ。だが、「党のため」の解散なら麻生副総裁や鈴木幹事長に根回ししなかったのは解せない。選挙での勝利を通じて自らの党内権力基盤を確立し、他ならぬ麻生氏を含む重鎮らの影響力を削ぐという個人的動機もありそうだ。

副総裁も幹事長も蚊帳の外

「これはギャンブルだな。高市の賭けだ」ある自民党関係者はこう口にした。

「高市総理が通常国会冒頭の解散を検討」という読売新聞のネット記事が配信されたのは、翌日から3連休を控えた1月9日(金)の深夜だった。

 この報に接して筆者も旧知の自民党幹部に確認したところ「これ本当に(解散)やるのかな」と半信半疑だった。この党幹部は選挙の実務にも深く関わる立場の政治家だが、党内にそんな雰囲気は全くないという反応だった。

 選挙となれば党の一切を総裁に代わって取り仕切る鈴木俊一自民党幹事長も、「私の所には全く連絡がない」と周囲にこぼし不快感をあらわにした。さらに去年10月の自民党総裁選挙で「高市支持」に回り、高市総理の“生みの親”とも言える麻生太郎自民党副総裁も事前に知らされていなかったようだ。麻生派の関係者は「(麻生)会長から『選挙の準備をしろ』という指示がまだ下りてこない。これまでであれば、何らかのサインがあったはずだが……」と困惑を隠さなかった。

 これまでも「決めるときは自分一人で」というのが高市の政治手法であったが、今回の“解散検討”も、木原稔官房長官らごくごく限られたスタッフと秘密裏に進めていたようだ。

 自民党単独では衆院で過半数(233議席)に達していない状況(現有199議席)を打開するため、支持率の高い段階で解散に打って出るのが政局のセオリーであるのは確かだ。しかし、高市の秘密主義に基づく独断専行に自民党内からは異論も出ている。自民党幹部の1人は「予算を通す前に解散というのはどうかな。国民の理解を得られるのだろうか」と疑問を呈する。

新年度予算の成立まで待てない事情

 高市は5日の年頭会見で衆議院の解散総選挙について問われた際、次のように答えていた。

高市「解散についてのお尋ねでございますが、令和7年度補正予算の早期執行を、今日も同行してくれていますが、各大臣に指示をいたしております。国民の皆様に高市内閣の物価高対策、経済対策の効果を実感いただくということが大切です。こうした目の前の課題に懸命に取り組んでいるところでございます」

 この発言を聞いた多くは、当面は新年度予算の成立に力を入れるであろうとして、解散は早くても予算が成立する4月以降と受け止めた。筆者もその一人だった。しかし、ある政府関係者は、いまから思えば高市は早い段階から冒頭解散を意識していた、と指摘する。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
永田象山(ながたしょうざん) 政治ジャーナリスト
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