2025年「トランプのゲーム」で笑った国と泣いた国

Foresight World Watcher's 9 Tips

執筆者:フォーサイト編集部 2025年12月28日
エリア: グローバル
今年の主役はトランプ氏。ただし「勝者」が誰かは別の話。中国以外にも笑った国はある (C)AFP=時事

 さて暮れも押し詰まってまいりました。海外の各メディアも年間総括の特集企画に趣向を凝らし、2025年という1年に様々な角度から光を当てています。

 今年の主役は、やはりドナルド・トランプ米大統領だったのでしょう。1月の第2次トランプ政権発足直後から「関税・貿易戦争の再開」を宣言し、4月2日の「相互関税」発表時には市場にも大きな動揺が走りました。主役が「トランプのアメリカ」だとすれば、準主役の一番手は中国。米中は相手にそれぞれ最大145%と125%の関税を打ち出し、米中関係の緊張が国際政治の大きな焦点になりました。

 それが10月末の米中首脳会談で暫定合意に至る過程では、マーケットの反応を気にした(とされる)トランプ政権の政策転換を指して「TACO(Trump Always Chickens Out=トランプはいつも尻込みする」などといった流行語も生まれました。一方でトランプ氏は、ガザ戦争やイスラエルとイランの対立などに介入し、「8つの戦争」を終わらせたとも主張します。とはいえ、もちろん中東にも、あるいはロシアの侵略に晒されているウクライナにも、安定がもたらされたとは言えません。

 こうした国際政治の主要アクターの動きがトップニュースで扱われていく傍らで、世界の各地・各分野でも重要な変化が起きています。各メディアの年末特集企画は、見過ごしがちな重要なポイントを、改めてとらえ直す好機です。たとえば、大胆な(大胆過ぎると評された)ハビエル・ミレイ大統領の改革はアルゼンチンをどう変えたか。親ロシア派と親欧米派が激しく競り合ったモルドバ議会選挙の結果をどう評価しておくべきか。今年最も経済が好調だった国・経済圏は、結局のところどこなのか。

 米「フォーリン・ポリシー(FP)」誌が毎年掲載している、その年に新しくニュースに登場した地政学用語を列挙する記事は、そのまま国際情勢の主要論点を示すでしょう。社会生活・文化のトレンドについても興味深い記事が並びます。英「フィナンシャル・タイムズ(FT)」紙は「ひと言」に反映された世相(Year in a word)についてウィットを利かせたエッセイを掲載していますが、「Affordability」「Tradwife」あたりはともかくですよ、「6-7」っていったい何なのか。読んでもよくわからなかったのですが、どうやら、わからないことに意味があるようです。

 フォーサイト編集部が熟読したい海外メディアから9本。皆様もよろしければご一緒に。本欄、来週はお休みです。 

The Winners and Losers of Trump’s New Foreign Policy【FP Staff/Foreign Policy/12月24日付】

「トランプ政権第2期において最も恩恵を受けた国と最も恩恵を受けなかった国について検証する」――こんな取り組みを、米FP誌が行なった。「トランプの新外交政策で分かれた勝ち組と負け組」(12月24日付)だ。

 まず紹介するのは、「トランプのゲームを最もうまくプレイした5カ国」。

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