Weekly北朝鮮『労働新聞』
Weekly北朝鮮『労働新聞』 (157)

米のイラン攻撃を「最も強い語調で糾弾」しつつも慎重な反応(2026年3月1日~3月7日)

執筆者:礒﨑敦仁 2026年3月9日
エリア: アジア

金正恩国務委員長は、新たな5カ年計画期間において毎年2隻ずつ水上艦を建造すべきだと述べた[駆逐艦「崔賢」に乗艦した金委員長ら=2026年3月3日](C)AFP=時事

党大会での対外政策に関する金正恩発言からは、米国が北朝鮮を事実上の核保有国と認め、交渉に踏み出すことへの期待が読み取れた。2日付の『労働新聞』は米国とイスラエルによるイラン攻撃を糾弾したが、その表現は定型的なものにとどまった。任期が2年近く延長されていた最高人民会議の代議員選挙が3月15日に実施される。【『労働新聞』注目記事を毎週解読】

7年ぶりの代議員選挙

 国会に当たる最高人民会議の代議員選挙が3月15日に実施されることになった。3月4日付の第1面下段に最高人民会議常任委員会決定第360号(3日付)が掲載され、憲法第90条に従って第15期代議員選挙の実施が発表された。中央選挙委員会は13人で構成される。

 北朝鮮憲法第90条は、最高人民会議の任期を5年と定めているが、「やむを得ない事情で選挙が実施できない場合は、選挙が実施されるまで任期を延長する」としている。第14期は2024年春に任期が切れており、それから2年が経過しようとする中での公示であり、7年ぶりの選挙となる。

 冷戦終結と金日成(キム・イルソン)主席の死去直後の時期、1995年に実施されるべき代議員選挙が1998年に実施されたことがある。未曾有の食糧難により大量の脱北者が発生するという大混乱に伴う措置であった。当時は朝鮮労働党大会が1980年以降全く開催されないなど、党機構の機能不全が疑われていたが、そのような金正日(キム・ジョンイル)政権期においても最高人民会議が開催され、1998年の後、2003年、2009年には順調に代議員選挙が実施されたことに鑑みれば、今回の2年にわたる任期延長は異例中の異例であると言える。「やむを得ない事情」が何であるかについて北朝鮮メディアは言及していない。

トランプ政権による大幅譲歩を待つ姿勢

 なお、前回の本欄では第9回党大会を扱ったものの、主に内政に焦点を当てたため、ここでは対外政策について補足的に概要を整理しておきたい。

 党大会において金正恩(キム・ジョンウン)総書記は、国防力の持続的強化が国家存立の礎であるとして「核保有国」の地位を内外に誇示した。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
礒﨑敦仁(いそざきあつひと) 慶應義塾大学教授。専門は北朝鮮政治外交。1975年生まれ。慶應義塾大学商学部中退。韓国・ソウル大学大学院博士課程に留学。在中国日本国大使館専門調査員、外務省第三国際情報官室専門分析員、警察大学校専門講師、米国・ジョージワシントン大学客員研究員、ウッドロー・ウィルソンセンター客員研究員など歴任。著書に『北朝鮮と観光』(毎日新聞出版)、『北朝鮮を読み解く』(時事通信社)、共著・編著に『最新版北朝鮮入門』(東洋経済新報社)、『北朝鮮を解剖する』(慶應義塾大学出版会)など。
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