Weekly北朝鮮『労働新聞』
Weekly北朝鮮『労働新聞』 (159)

最高人民会議代議員選挙を実施、1957年以来の「反対票」は0.07%(2026年3月15日~3月21日)

執筆者:礒﨑敦仁 2026年3月23日
タグ: 北朝鮮 金正恩
エリア: アジア
最近は金正恩国務委員長が頻繁に娘を同行させている[ロシアに派兵され戦死した兵士の遺族らが住むセッピョル通りの公園で植樹する金正恩父娘=2026年3月14日、北朝鮮・平壌](C)AFP=時事
最高人民会議代議員選挙では687人の候補者全員が当選したが、0.07%(数にして約1万人)の反対票があったことが注目される。反対票が出た選挙は、これまで1948年の第1期選挙と57年の第2期選挙のみ。ただし、今回の反対票は金正恩政権への批判ではなく、ごく一部の幹部に対する批判を積極的に奨励することで「人民の国家」「人民の主権」を強調しつつ、ガス抜き効果を狙ったものと見られる。【『労働新聞』注目記事を毎週解読】

 3月15日、最高人民会議代議員選挙が約7年ぶりに実施された。金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は、平安(ピョンアン)南道に所在する順川(スンチョン)地区青年炭鉱連合企業所の天聖(チョンソン)青年炭鉱を訪れて、第150号区第48号分区投票場で選挙に参加した。この分区の候補者である同炭鉱の支配人に投票したという。金正恩自身は2019年3月実施の前回選挙から代議員候補に含まれていない。

 金正恩は炭鉱を視察し、「石炭は昨日も今日もわが国の工業の食糧であり、自立経済の発展の原動力です」などと石炭工業部門の任務と役割の重要性を強調する演説を行った。朝鮮労働党第9回大会で策定された新5カ年計画では、石炭工業部門の生産量目標を1.2倍増にしたことを明らかにし、天聖青年炭鉱がその牽引役となることを希望した。一方で、炭鉱の村の「立ち遅れた姿」を払拭する必要性にも触れた。

 金正恩は、「炭鉱労働者は金の座布団に座らせても惜しくない」と述べ、第9期の期間内に全ての炭鉱の村を近代的で文化的な炭鉱の村、炭鉱の都市に変貌させることが党中央の確固たる決心であるとした。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
礒﨑敦仁(いそざきあつひと) 慶應義塾大学教授。専門は北朝鮮政治外交。1975年生まれ。慶應義塾大学商学部中退。韓国・ソウル大学大学院博士課程に留学。在中国日本国大使館専門調査員、外務省第三国際情報官室専門分析員、警察大学校専門講師、米国・ジョージワシントン大学客員研究員、ウッドロー・ウィルソンセンター客員研究員など歴任。著書に『北朝鮮と観光』(毎日新聞出版)、『北朝鮮を読み解く』(時事通信社)、共著・編著に『最新版北朝鮮入門』(東洋経済新報社)、『北朝鮮を解剖する』(慶應義塾大学出版会)など。
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