BP事故が変える世界のエネルギー事情

執筆者:新田賢吾 2010年7月16日
エリア: 北米

 メキシコ湾で4月下旬に爆発事故が起きた海洋油田からは米政府の推定で70万キロリットルもの大量の原油が流出、米ルイジアナ州などの沿岸はどす黒い原油で汚染された。油田の操業者である英石油大手BPは、水深1500メートルの海底にある油井の噴出口をなんとか封鎖しようと様々な技術を動員したが、なかなかうまくいかず、7月中旬になってようやく原油流出が止まった。ただ、これも抜本的な解決策にはならないとの見方が多く、油井を完全に封印するまでは予断を許さない。
 今回の事故は世界の海洋油田の事故としては最悪の展開になったが、エネルギー業界関係者の中には「いつか、どこかでこんな事故が起きると思っていた」と事故をある程度、予見していた人もいる。深海油田の開発、原油生産はそもそも地上の油田ほど簡単ではなく、水深が増す毎に幾何級数的に難度が増すからだ。人間が潜ることのできない深海では、何かのトラブルが発生してもすべて遠隔操作で対処しなければならない。

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