紛争解決で見せた中印「阿吽の呼吸」(その1)

執筆者:山田剛 2010年9月24日
タグ: 中国 インド
エリア: アジア

 インド政府が4月、「安全保障上の理由」から、輸入が急増していた携帯電話用基地局など中国製電気通信機器の輸入を差し止め、これが大きな印中間の外交問題に発展したことは記憶に新しい。だが、インド政府は8月末にあっさりとこの禁輸措置を解除。月間2000万件近くも携帯電話加入者が増えているインドでは、何事もなかったように中国の通信企業が再びビジネスを活発化させている。

 この禁輸措置、インドでビジネスを急拡大させている華為技術(ファーウェイ)、中興通訊(ZTE)の2社をほぼ狙い撃ちにした格好だった。その背景には「中国製電気通信機器にはスパイウェアが仕込まれている」「華為などの上層部には人民解放軍の息がかかった人物が送り込まれている」との疑惑が背景にあったと思われる。さらには、「心配性の内務省が印中関係を損ねている」と批判した「親中派」のジャイラム・ラメシュ環境・森林担当国務相が与野党から激しく批判され、一時辞意を表明するなどの騒ぎにも発展した。

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