多面的に深まるアジアと中東の「相互依存体制」

 九九年十月下旬、韓国の現代グループは石油子会社・現代精油を、アラブ首長国連邦(UAE)アブダビの国際石油投資公社(IPIC)に売却すると発表した。IPICはアブダビ政府の石油事業の海外展開を担当する企業で、現代精油の株式五〇%を五億一千万ドルで購入、七人の役員陣のうち四人を送り込み経営権を掌握する。IPIC側は残る株式を七〇%まで買い進めるオプションを持っているほか、現代精油が先に買収している韓火エネルギーも傘下に収める方針だ。韓国では九七年夏のアジア経済危機以来、銀行、証券、自動車、化学など様々な分野で外資による企業買収が相次いでおり、現代精油の買収劇もその一幕といえる。だが、視点を中東―アジアのエネルギー関係に広げると、二十一世紀に確実に深まる両地域間の相互依存の新たな構図が浮かび上がって来る。

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