「青臭い匂いをふんぷんとさせた、壱岐生れの若者は九十七歳で枯れ終えるまで、二度三度とどん底生活や隠遁を繰り返しながら、甦るたびに出世魚のように変身。ついには日本経済の運命を決定する回天の大事業をなし遂げた」(水木楊『爽やかなる熱情 電力王・松永安左エ門の生涯』日本経済新聞社刊 一七〇〇円) 日本人よ、爽やかなる熱情をもって生きよ――。著者は本書を世に出すことで、松永翁に成り代わりこう一喝したかったのではないか。バブル崩壊から始まる経済の低迷に萎縮し、動けない現代人の背中を押す、強烈な叱咤激励が本書には溢れている。

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