堰を切ったような企業破綻、売り叩かれる金融株。不良債権問題は軟着陸のタイミングを完全に失った。問題はもはや、何をすべきかではない。いまやるか、座して死を待つかだ―― 年末を控えて世界の金融市場に、リスクという妖怪が徘徊している。米エネルギー大手、エンロンの経営破綻は、安全な金融商品だったはずのMMF(マネー・マネージメント・ファンド)の元本割れを引き起こした。数兆円規模の解約は国内の短期金融市場に緊張を呼び起こし、日銀は九月の同時多発テロ直後を上回る大量の資金供給を余儀なくされた。株式市場で売り叩かれていた都市銀行の資金繰りが行き詰まりかねなかったからだ。

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