堺屋太一著『東大講義録』を読んでいたら、デモクラシーに民主主義という訳語がつく前、すなわち幕末のころには「下克上」という訳を充てていたという。これならわかりやすい。もしそのままの訳語で今日に至っていたら、日本はいまと違った形になっていただろうか。 世の中にはだれも反対しにくいような、それでいて何を意味するのかよく分からない言葉が多い。いまでいえば「構造改革」「市場主義」「国連中心主義」などが、それに該当するだろう。正論といえば正論だが、あまりにも正論過ぎて、議論がそこで止まってしまうような魔力を持つ。
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