建国以来初の選挙でサウジアラビア「流動化」の懸念

執筆者:Foresight 2003年12月号
エリア: 中東

[カイロ発]サウジアラビアではこの一年以内に、十四の地方評議会の選挙が行なわれることになった。選挙が実施されれば、サウジアラビア建国以来初めてのことだ。この選挙実施の決定は、国民の政治に対する不満の増大を背景にしており、王政が「ガス抜き」効果をねらったものと考えられている。 サウジアラビアは、様々な社会的・経済的矛盾を抱えている。人口増加率は三%を超え、国民の過半数は十五歳以下だ。増え続ける人口に対して職の供給が追いつかず、失業率は一般男性の一〇%に達すると見られている。男子大学生の三〇%は、卒業しても就職できない状態だ。また、石油ブームの絶頂期と比較すると、一人当たりの所得は二分の一以下に落ち込んでいる。政治への不満は、イスラムの宗派、性別、イデオロギー、地域を問わず、あらゆる階層に見られている。

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