騒音のないところに行きたい

執筆者:成毛眞 2004年1月号
タグ: 日本

 数年前、山中湖の別荘地に山荘を作った。冬にはスキー、夏にはスノーボードの水上版であるウェークボードをするので、富士五湖には愛着があったからだ。山林の別荘地といっても借地。もともと将軍家のお狩り場だったらしく、現在の地主は国である。 地元企業の富士急が管理しているためか、全体の手入れは行き届いている。日本最古のパブリックコースである富士ゴルフコースにも近い。その昔は石原軍団も各自別荘を構えていた。 しかし、世情が物騒になるにつれて、最近は山荘への足が遠のいた。なにも強盗や空き巣が増えたというのではない。お隣の警備が極めて厳しくなったからだ。ここはある大手印刷会社の保養寮なのだが、警備会社の代わりに番犬を利用するという古風な管理。以前は二頭ほどが敷地の角に繋ぎっぱなしにされ、不審者に吠え掛かっていただけなのだが、最近ではさらに二頭が加わり、あらゆる動くものに四頭立てで吠え掛かる。おそらくウィークデーは別荘地利用者も少ないから問題はないのだろうが、土日ともなると夜明けから深夜まで怒号は絶え間ない。

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執筆者プロフィール
成毛眞(なるけまこと) 中央大学卒業後、自動車部品メーカー、株式会社アスキーなどを経て、1986年、マイクロソフト株式会社に入社。1991年、同社代表取締役社長に就任。2000年に退社後、投資コンサルティング会社「インスパイア」を設立。2011年、書評サイト「HONZ」を開設。元早稲田大学ビジネススクール客員教授。著書に『面白い本』(岩波新書)、『ビジネスマンへの歌舞伎案内』(NHK出版)、『これが「買い」だ 私のキュレーション術』(新潮社)、『amazon 世界最先端の戦略がわかる』(ダイヤモンド社)、『金のなる人 お金をどんどん働かせ資産を増やす生き方』(ポプラ社)など多数。(写真©岡倉禎志)。
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