【インタビュー】ハンダン・イペクチ(映画監督) クルド人の少女ヘジャル

 トルコ国内のクルド人問題に一石を投じた映画『少女ヘジャル』は、二〇〇一年にトルコ国内で公開五カ月後に上映が禁止されるという異例の事態を招いた。 映画の舞台は、一九九八年、共和国建国七十五周年を迎えたトルコ。その祝賀ムードとは裏腹にトルコ東部、南東部のクルド人居住区では、政府軍とクルド労働者党(PKK)のゲリラ組織が戦闘を繰り広げていた。八〇年代から始まった戦闘は、実に三万人もの死者を出していた。そんな時代を背景に、本作は、トルコ人の老人とクルド人の孤児が、ぶつかり合いながらもしだいに心を通わせていく様子を描く。トルコ語しか分からない元判事のルファトが、クルド語しか話せない五歳の少女へジャルと意思疎通を図るために、クルド語を覚え、片言のクルド語で会話する。ユーモアを交えながら展開されるそのストーリーは、民族融和をめざすトルコ政府の方針と一致しているかに思える。

カテゴリ: カルチャー
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