1月24日に始まった通常国会で、菅直人政権は土俵際の賭けに乗り出した。自民党案の丸飲みをも視野に入れた社会保障と税の一体改革、首相自身が平成の開国と位置付ける環太平洋経済連携協定(TPP)への参加。二兎追う者は一兎も得ずとなるリスクを覚悟で、一か八かの勝負に打って出ようとしている。 与謝野馨氏の入閣で民主党政権は別物になった。内閣改造前は仙谷由人官房長官が主導権をとった「仙谷・菅」政権だったのに対し、改造後は与謝野氏の経済政策を丸飲みする「与謝野・菅」政権といえる。官邸を去った仙谷氏の心中は穏やかではない。更迭、留任、最後は更迭、と首相の心が揺れ、その都度振り回されたからだ。 今回の改造を前に、首相には高揚感が見て取れた。市民運動の理論的指導者だった政治学者の篠原一氏が、政権獲得後のトランジション(移行過程)第2幕を唱えているのを知り、意を強くしたとされる。要は小沢一郎氏を切って、政治とカネの問題をスッキリさせて、清潔な政治という本来の民主党の姿に戻るということだ。
この続きは会員登録をすると読むことができます。
「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン