有事立法は戦争のためだけのものか

執筆者: 2011年4月12日
タグ: 自衛隊 日本

 湾岸戦争は、1991年1月に始まった。前年8月にイラクがクウェートに侵攻してから5ヶ月余が経過する間、米国は、その開戦に備えて補完が必要と思われる法律を素早く制定していった。将兵として参戦するために大学生活あるいは通信教育受講を中断せざるをえない、また軍役のために留守となる住居でも家賃あるいはローンを支払わざるをえないといった、戦地に赴くことで生じるであろう不利益を填補する制度が整備された。その方針は、派遣兵の家族に対しても同様であった。それから10年後、9.11米国同時多発テロが発生した。戦没軍人を主な対象とするアーリントン国立墓地への埋葬基準の緩和、ならびに墓地の敷地拡張は直ちに立法化され、国防省内で犠牲となった文民もそこに葬られた。

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