国際論壇レビュー

世界があきれる日本の「民主主義メルトダウン」

 世界中があきれて、ものも言えない。論評にも値しないと思っている。日本の「政局」だ。でも、世界のまっとうな知識人に信頼されている英誌「エコノミスト」だからだろう。ずばり巻頭解説と特集記事で、日本のメディア以上に日本人の思いをぶちまけた。「政権交代などやっている場合じゃない……市民を馬鹿にするのもほどほどにしろ(an insult to the public’s intelligence)」。【A grand stitch-up or an election?, The Economist, June 11-17】
 大連立などやったら、旧勢力が復活して権力の甘い汁を吸いに戻るだけ。巨大企業や中央官庁を含めた旧勢力こそが、その癒着体質で、傲慢な原子力産業の監視を怠り、フクシマ原発の悲劇を生んだのではないか。こんな時に、総選挙などとんでもない。でも、やるのならやれ。電力業界再編と地方分権をテーマに国民の判断を仰ごう。東電や中央政府に市民はほとほと愛想をつかしているから、大改革への第一歩になるかもしれない。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
会田弘継(あいだひろつぐ) 関西大学客員教授、ジャーナリスト。1951年生まれ。東京外語大英米語科卒。共同通信ジュネーブ支局長、ワシントン支局長、論説委員長などを務め、現在は共同通信客員論税委員、関西大学客員教授。近著に『世界の知性が語る「特別な日本』』 (新潮新書)『破綻するアメリカ』(岩波現代全書)、『トランプ現象とアメリカ保守思想』(左右社)、『増補改訂版 追跡・アメリカの思想家たち』(中公文庫)など。訳書にフランシス・フクヤマ著『政治の衰退』(講談社)など。
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