民主党の保守系中堅・若手議員らでつくる「国益を考える会」の行動が党内に大きな波紋を広げている。一見、あまり影響力がないような動きに思えるが、過小評価すると政局を見誤ることになりかねない。 同会の吉良州司衆院議員、長島昭久前防衛政務官らは7月13日、首相官邸を訪ね、菅直人首相の即時退陣を求める申し入れ書を仙谷由人官房副長官に手渡した。15日には、同会の呼びかけに応じた議員32人が国会内で決起集会を開き、「菅首相の下では東日本大震災の復興や東京電力福島第一原子力発電所事故の収束は不可能」だとして、菅首相の即時退陣を求める決議を採択。その後、菅首相退陣を求める署名活動を党内で精力的に展開している。 この動きに対して、以前からの反菅勢力の中心である小沢一郎元代表や鳩山由紀夫前首相のグループは冷ややかな態度をとっている。だが、そうした表面上の対応だけをみて保守系中堅・若手議員と小沢・鳩山連合による「倒菅統一戦線」が失敗に終わるとみるのは早計だ。なぜなら、これらのグループは直接的な連携をしているわけではないものの、実は共通目標に向かってあうんの呼吸で慎重に事を進めているからである。

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