【ブックハンティング】難病患者が直面する「ほころびだらけの国民皆保険」

執筆者:武部隆 2011年8月30日
カテゴリ: 社会 カルチャー
エリア: アジア
『困ってるひと』
大野更紗著
ポプラ社
『困ってるひと』 大野更紗著 ポプラ社

 ビルマ(ミャンマー)難民を救済する活動に奔走していた20代の女子大学院生が、ある日、病魔に襲われる。  高熱が続き、全身の腫れと関節の痛みで歩行すら困難になるが、原因はもちろん、病名や治療法も不明。ようやくたどり着いた大学病院で「筋膜炎脂肪織炎症候群」「皮膚筋炎」という自己免疫疾患の難病であることは判明するものの、ステロイドの副作用で一時は危篤状態に陥り、思うように治療も進まない。挫折を繰り返しながらも病気と付き合うコツを学び、病院のそばに部屋を借りて自立生活を始めるまで、およそ1年9カ月の体験をリアルに綴る。難民という「困ってるひと」を救うつもりが、いつの間にか生存ぎりぎりの「困ってるひと」になっていたというお話だ。

カテゴリ: 社会 カルチャー
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執筆者プロフィール
武部隆(たけべたかし) 1961年生れ。早稲田大学第一文学部卒。84年時事通信社に入社。金沢支局を経て本社内政部に。旧建設省、旧自治省、自民党、厚生労働省、総務省などを担当。公共事業、地方財政制度、社会保障政策などに詳しい。著書に『自閉症の子を持って』(新潮新書)がある。
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