クリスティに対して強まる出馬要請圧力

執筆者:足立正彦 2011年10月3日
エリア: 北米

 先月は共和党大統領候補討論会が3回行なわれた。各種世論調査で他候補を大きく引き離して優位に選挙キャンペーンを展開しつつあったリック・ペリー・テキサス州知事は、不法移民対策や社会保障政策に関する発言を巡り他候補から相次ぎ厳しい批判に晒される事態に陥った。大統領候補としての脆弱さや準備不足を露呈したペリーの討論パフォーマンスに失望した共和党系の大口政治資金提供者(ドナー)の間では、新たな候補の擁立を図ろうとする動きが現在顕在化している。

 共和党系の有力ドナーから共和党大統領候補指名獲得争いへの出馬を促されているのはニュージャージー州知事のクリス・クリスティだ。クリスティは2009年11月に行なわれたニュージャージー州知事選挙で現職のジョン・コーザインを破り、共和党州知事候補としては同州で実に12年ぶりに当選を果たした。州知事就任後は大胆な歳出削減に着手するとともに、州の教員組合との対立姿勢を鮮明にし、全米の共和党系有権者の注目を集める存在となった。

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執筆者プロフィール
足立正彦(あだちまさひこ) 住友商事グローバルリサーチ株式会社シニアアナリスト。1965年生まれ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より、住友商事グローバルリサーチにて、シニアアナリストとして米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当し、17年10月から米州住友商事ワシントン事務所に勤務、20年4月に帰国して現職。
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