鳩山由紀夫氏は総理大臣だったとき「国民のみなさまにお訴え致します」という丁寧過ぎる表現を発明し、頻繁に遣った。あまり繰り返すので、国民はそのうち「お訴え」は普通に「訴え」ているだけなのだと分り、それからは聞き流すようになった。 次に丁寧語を裏返した、罵倒語のことを、少し考えてみる。 日本語は世界でも稀な、罵倒語の貧弱な言語だといわれる。英語にはゴッデムから「母親とファックしたヤツ」まで多彩な罵倒語があるが、中国語の怒りの表現、また怒りに伴う罵倒語には、英語など遠く及ばぬ豊かな語彙があり、表現に伴って無限のニュアンスがあるという。

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