円高進行中に何故か膨らむ「円安リスク」への警戒感

執筆者:磯山友幸 2011年11月29日
エリア: アジア
円高は収まる気配がないが……(c)時事
円高は収まる気配がないが……(c)時事

 一向に収まらない円高に対して、政府・日銀は円売りドル買い介入を繰り返している。10月31日には、民主党政権になって4度目となる介入を実施。8兆円規模というこれまでにない大型のものだった。昨年9月、今年3月、8月、そして10月の4回合計の介入額は15兆円を超えた。  さらに政府は、2011年度の第3次補正予算で約2兆円にのぼる円高対策を盛り込んだ。具体的には生産・研究開発拠点を日本国内に置いた場合に補助金を支給する立地補助事業や、中小企業向けの緊急保証・特別貸付などだ。円高による産業空洞化や雇用喪失を防ぐとしているが、直接的に円高を止める政策というよりも、円高で苦しむ企業への“支援”といった側面が強い。

カテゴリ: 経済・ビジネス 政治
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執筆者プロフィール
磯山友幸(いそやまともゆき) 1962年生れ。早稲田大学政治経済学部卒。87年日本経済新聞社に入社し、大阪証券部、東京証券部、「日経ビジネス」などで記者。その後、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、東京証券部次長、「日経ビジネス」副編集長、編集委員などを務める。現在はフリーの経済ジャーナリスト活動とともに、千葉商科大学教授も務める。著書に『2022年、「働き方」はこうなる』 (PHPビジネス新書)、『国際会計基準戦争 完結編』、『ブランド王国スイスの秘密』(以上、日経BP社)、共著に『株主の反乱』(日本経済新聞社)、『破天荒弁護士クボリ伝』(日経BP社)、編著書に『ビジネス弁護士大全』(日経BP社)、『「理」と「情」の狭間――大塚家具から考えるコーポレートガバナンス』(日経BP社)などがある。
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