よく名の知れた政治評論家が2人、ラジオに出て、政局の話をしていた。聞くともなしに聞いていると、どういう脈絡か忘れたが、話は逸れてジョン・F・ケネディ大統領の就任演説になった。 「ああいう名演説をしてくれる政治家が日本にいたら……。私はそのとき小学生でしたがね」 「私など幼稚園でしたよ」 軽い笑いを挟んで2人の会話は元に戻った。そんなチンピラが評論家やっとるのか! 聞いている私は唖然となり、その後の対談が耳に入らなかった。 1961年1月、初めて米国に誕生した20世紀生まれの大統領ケネディがワシントンの議事堂前の演壇で就任演説をしたとき、私はすでに社会人だった。
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