政府は、環境省の外局として新設する原子力規制庁の4月1日発足を断念した。すでに関連法案を国会に提出しているが、野党が規制庁の独立性が乏しいと問題視しており、審議入りのメドが立っていないためだ。国会が設置した東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(国会事故調)の黒川清委員長(元日本学術会議会長)が法案の閣議決定を痛烈に批判する声明を出したことも響いている。国会事故調は事故原因を究明したうえで規制組織のあり方を提言することになっているが、その提言を出す前に政府が先回りして組織を変えるのは「理解できない」(声明文)というわけだ。国会の権威を踏みにじりかねない法案を政府が出し急いだ理由は何か。国会事故調の調査が進むにつれ、その本音が見えてきた。
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