「原子力規制庁」の設置を急ぐ霞が関の本音

執筆者:磯山友幸 2012年4月3日
タグ: 日本 原発
エリア: アジア
原子力規制庁に「待った」をかけた国会事故調の黒川委員長(c)時事
原子力規制庁に「待った」をかけた国会事故調の黒川委員長(c)時事

 政府は、環境省の外局として新設する原子力規制庁の4月1日発足を断念した。すでに関連法案を国会に提出しているが、野党が規制庁の独立性が乏しいと問題視しており、審議入りのメドが立っていないためだ。国会が設置した東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(国会事故調)の黒川清委員長(元日本学術会議会長)が法案の閣議決定を痛烈に批判する声明を出したことも響いている。国会事故調は事故原因を究明したうえで規制組織のあり方を提言することになっているが、その提言を出す前に政府が先回りして組織を変えるのは「理解できない」(声明文)というわけだ。国会の権威を踏みにじりかねない法案を政府が出し急いだ理由は何か。国会事故調の調査が進むにつれ、その本音が見えてきた。

カテゴリ: 政治 社会
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執筆者プロフィール
磯山友幸(いそやまともゆき) 1962年生れ。早稲田大学政治経済学部卒。87年日本経済新聞社に入社し、大阪証券部、東京証券部、「日経ビジネス」などで記者。その後、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、東京証券部次長、「日経ビジネス」副編集長、編集委員などを務める。現在はフリーの経済ジャーナリスト活動とともに、千葉商科大学教授も務める。著書に『2022年、「働き方」はこうなる』 (PHPビジネス新書)、『国際会計基準戦争 完結編』、『ブランド王国スイスの秘密』(以上、日経BP社)、共著に『株主の反乱』(日本経済新聞社)、『破天荒弁護士クボリ伝』(日経BP社)、編著書に『ビジネス弁護士大全』(日経BP社)、『「理」と「情」の狭間――大塚家具から考えるコーポレートガバナンス』(日経BP社)などがある。
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