水難事故などのニュースを見ていて、ダイバーとしてはいつも気になるのが潜水用語だ。ただいまダイバーが「酸素ボンベ」を背負って海に入りました、などとレポーターが説明していることがあるのだ。 海のなかでは溶接をする目的以外には酸素ボンベは使わない。正確には「空気タンク」である。潜水士が背中にくくりつけているのは二百気圧に圧縮した地上の空気そのものなのだ。 実は酸素は毒物である。高圧高濃度の酸素を吸い続けると、酸素中毒を来しめまいや麻痺が起こるだけではなく、死に至ることもある。テレビの前のよいこはニュースを信じてはいけない。

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