ウクライナ「オレンジ革命」の真実

執筆者:名越健郎 2005年1月号
エリア: ヨーロッパ

「ユーシェンコ、ユーシェンコ」 大統領選の不正問題で紛糾したウクライナの首都キエフは、朝から夜中までオレンジの旗やリボンを掲げた数十万人のデモ隊が、親欧米派の野党候補ユーシェンコ元首相の名を大声で連呼しながら練り歩く。車もそれに合わせて3回クラクションを鳴らし、街全体が解放区の雰囲気だった。 同氏は9月に体調を壊し、ハリウッドスター級の容貌はすっかり変わったが、カリスマ性と大衆動員力は増大。権威主義的なクチマ政権を追い詰めた。対する親ロシア派の与党候補ヤヌコビッチ首相は、悪玉とみなされる。青年時代、婦女暴行や窃盗で2度投獄され、現在は東部マフィアの代表格と指摘される。だから、ウクライナ人はアネクドートで首相を徹底批判する。

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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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