松下電器産業の中村邦夫社長(六五)の去就に関心が集まっている。デジタル景気が減速する中での大幅増益決算、世界をにらんだ大規模な企業提携など、一見すると順風満帆の「中村丸」に死角はなさそうだが、「今年六月の株主総会後に社長を辞めるのでは」との観測が消えない。 その根拠のひとつは、昨年末から続く松下関連のニュースラッシュだ。その一部を拾うだけでも「松下リース・クレジットを住友信託銀行へ売却」、「松下興産を売却、大和ハウスが有力」、「リストラ継続、今期七千―八千人削減」、「松下、日立がプラズマパネル技術で提携」、「中国・大連の子会社の技術者四倍に」――わずか一カ月あまりの間に「豪腕の中村社長ならでは」と周囲が認める大きな決断が相次いだ。「破壊と創造」をキーワードに誕生した中村政権。松下リース・クレジットと松下興産のニュースは、その「破壊」が最終局面に入ったことを意味している。
この続きは会員登録をすると読むことができます。
「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン