前回、「ある程度の所得があるサラリーマンが離婚する際の支払い金額が、簡単に全財産を上回ることになる」と指摘した。そして、そのカラクリは婚姻費用にある。
今回は、この婚姻費用がどういうものか、そして婚姻費用があるために、なぜまともな仕事をして、ある程度以上の所得がある仕事人が離婚する際には、往々にして全財産を超える金銭を支払わされることになるのか、そのカラクリを解説しよう。
民法の規定により、夫婦は相手の生活を自分と同じレベルで維持し、夫婦の資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する義務があるとされている。これが婚姻費用の法的根拠であり、具体的には、夫婦間でより稼いでいる方(通常は夫だが、法律は当然だが男女平等なので妻の場合もある。以下の文章では夫の所得が妻より多いと仮定)が、そうでない方に毎月一定の金額を支払う義務があるのだ。弁護士業界では、略して「コンピ」と呼ばれている。
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