「状況はコントロールされている」――。
安倍晋三首相が9月8日(日本時間)にIOC総会で語った虚言(福島の被災者にとっては暴言)の持つ深刻な意味合いについて、日本の大手マスメディアは、問題をすり替えることで、見て見ぬふりを通すつもりらしい。
9日付の全国紙は社説まで、五輪招致万歳の提灯記事で埋まった。慶事である。大いに寿ぎ、論じていい。薄気味悪いのは、翼賛社説の中に、取ってつけたように、それも判で押したように各紙同じキーワードを使って、奇妙な御託宣が紛れ込んでいることだ。いわく、首相のIOC発言で事故原発の汚染水対策は「重い国際公約」となったのだから、五輪開催に浮かれずに、政府と東電は責任を肝に銘じるべし、と。何やら厳かに。
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