オランダの映画監督で、かのヴィンセント・バン・ゴッホの弟で画商だったテオが曾祖父に当たるというテオ・バン・ゴッホが殺された。去年十一月のことである。 アムステルダムの朝のラッシュの中を、テオは自転車で走っていた。一人の男が彼を呼び止め、ナイフを取り出して刺した。テオが死ぬまで何度も何度も刺し、ゆっくりと現場を立ち去った。後に警官隊との撃ち合いのすえ捕まった。ムハンマド・ブイエリ(二七)というオランダに生まれ育ったモロッコ人で、イスラム原理主義者だった。先日、オランダの法廷で終身刑の判決を受けた。死刑がないかわり、オランダの終身刑は掛け値なしである。ただいま服役者十六人。釈放された者は六十年間にたった二人だそうである。
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