旧ソ連も手を焼いた「ケネディ暗殺犯」オズワルド

執筆者:名越健郎 2013年11月19日
エリア: 北米 ヨーロッパ

 11月22日で50周年になるケネディ元米大統領暗殺事件について、米国では、暗殺に組織的な「陰謀」があったと思う人は61%で、リー・オズワルドの単独犯行と考える30%を大きく上回ったことが、最新のギャラップ世論調査で伝えられた。筆者も13年前、テキサス州ダラスのデーリー広場を視察した印象から、複数の実行犯がいて、オズワルドはおとりだったという陰謀説を取っている。

 現場を見れば、あの距離から旧式ライフルで5-6秒間に4発発砲し、動く標的に命中できるはずがないことがすぐ理解できる。オズワルドが発砲したとされる後方の教科書ビル6階から現場まではざっと60-70メートル。海兵隊で射撃の成績が悪かったオズワルドが、1発撃つたびに次の射撃まで時間のかかる第2次大戦中のイタリア製ライフルを連射し、3発命中できるとは思えない。筆者も記者時代、ロシア軍基地を視察した際、兵士の手ほどきでAK47ライフルを試射したが、50メートル以上の標的はほとんど当たらず、相当の技量が必要と実感した。

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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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