拙著『失敗学のすすめ』が好評を博して五年以上経ち、失敗学は世間でも認知されてきたと思う。とはいえ、失敗から学ぶとはどういうことか、腑に落ちない読者も多いのではないか。 私が提唱してきた失敗学とは、失敗を生んだ原因とカラクリを発見し、新しいカラクリの設計に生かすこと。元は工学設計からの発想で、実験器具の水漏れなど身近なミスから原発・宇宙事故までも対象にして、エンジニアが犯してしまった設計や対処の失敗例を分析することから始まった。 失敗に学ぶコツは、他人事として失敗を見るのではなく、「自分もやるかもしれない」と当事者感覚で理解することが肝心だ。自分が体験したミスは経験知として身につく。では、今後自分が失敗を避けるために必要な知識は何なのか。
この続きは会員登録をすると読むことができます。
「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン