中東から二枚看板が消えて

執筆者:名越健郎 2006年6月号
エリア: 中東

 中東和平交渉のプレーヤーがすっかり一新された。強烈な個性を持った故アラファト・パレスチナ自治政府前議長、シャロン・イスラエル前首相が“退場”。1月のパレスチナ議会選では、イスラム原理主義組織ハマスが圧勝し、サッカー選手だったハマスのハニヤ氏が首相に就任。3月のイスラエル総選挙では、脳出血で倒れたシャロン氏が創設した中道政党・カディマが辛うじて第一党となり、党首のオルメルト氏が連立政権の首相に就任した。ハニヤ、オルメルト両氏は地味な参謀タイプで、指導力は未知数。暴力路線を維持し、イスラエルの存在自体を否定するハマスの登場で、中東和平交渉も当分停頓しそうだ。

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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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