最大の顧客は中国:映画『世界一美しいボルドーの秘密』レビュー

執筆者:国末憲人 2014年9月23日
 「性」で財を成した中国人富豪が誇る世界一のボルドー・コレクション         (C)2012 Lion Rock Films Pty Limited
「性」で財を成した中国人富豪が誇る世界一のボルドー・コレクション         (C)2012 Lion Rock Films Pty Limited

 同じようにフランスを代表するワインであるものの、ブルゴーニュとボルドーは、大いに異なるイメージを与えてきた。

 繊細で女性的な性格を持つブルゴーニュは、一般的に小規模の畑で、職人的な技によってつくられてきた。「ブルゴーニュは旅をしない」と言われる通り、長期間の輸送に向かず、フランス国内で主に消費された。デリケート、通好みで閉鎖的。村の名前や作り手の名称が複雑に入り組んでおり、分類するのが難しい「フランス人がつくるフランス人のためのワイン」だった。

カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
国末憲人(くにすえのりと) 東京大学先端科学技術研究センター特任教授 1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒業。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。パリ支局長、論説委員、GLOBE編集長、朝日新聞ヨーロッパ総局長などを歴任した。2024年1月より現職。著書に『ロシア・ウクライナ戦争 近景と遠景』(岩波書店)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)、『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『イラク戦争の深淵』『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『テロリストの誕生 イスラム過激派テロの虚像と実像』(草思社)など多数。
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