十一月十九日、沖縄県民は現実的決着を選んだ。だが、新知事のある公約は、またも沖縄を自縄自縛に陥れかねない。 米海兵隊・普天間基地の代替施設の建設が予定されている名護市は、沖縄の県都・那覇から高速道路を一時間も走れば着く。東京の感覚からすれば、決して遠くはない。しかし那覇のひとが名護に行くことはほとんどない。那覇市民にとって名護は、はるか北にある辺境の地に映る。 進んだ南部と遅れた北部――「南北問題」は沖縄の構造問題であり、南北の距離感が沖縄県知事選挙で自民党、公明党が推薦する仲井真弘多氏の当選につながった。大票田の那覇では、普天間基地の名護移設は、われらではなく、かれらの問題であり、仲井真氏が訴えた経済問題の方が深刻だった。
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