タイではプミポン国王の誕生日前日に当たる12月4日、首相以下の文武百官に経済界指導者などが、祝賀のために王宮に参内する。それらの国家枢要を前に、国王が国民に向かって過ぎ去った1年を回顧し、自らの所感を語り、国民団結の尊さを諭し、来たるべき新しい年への抱負を語りかけることが恒例となっている。内外の批判を受けながらも財政再建に取り組んだ財務大臣を讃え、政治への容喙(ようかい)の激しい国軍幹部を婉曲に諌め、経済成長のみに邁進する政権には「足るを知る経済」を提案するなど、その姿は「国民の厳父」そのものであった。であればこそ、タイにとっての12月4日は特別な1日なのだ。
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