1月からブルガリアとルーマニアが欧州連合(EU)に加盟し、EUは計27カ国、総人口が5億人に近づく巨大組織に膨れ上がった。しかし、世論調査では域内市民の過半数は拡大に恐れや不満を抱いているという。フランスやオランダが国民投票でEU憲法条約の批准を否決したのは、新規加盟国から大量の移民が職を求めて流入することへの不満があるためだ。 トルコの加盟見通しは立たず、バルカン諸国の加盟も凍結。ウクライナなど旧ソ連諸国は事実上拒否されるなど「拡大疲れ」がみられる。欧州統合が打ち止めとなる中で、伝統的な加盟国間の不和や官僚主義も増幅してきた。

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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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