久しぶりに米首都ワシントンで取材した。旧知の元政府高官に会い、国立公文書館で古文書を繙くうち、あっという間に予定の十日間が過ぎた。帰国が翌朝に迫った夜、元米中央情報局(CIA)工作員の友人のことを思い出し、自宅に電話した。「空港までマイカーで送るよ」と、土曜の朝のことなのに親切に言ってくれた。 いま何をしているのか具体的なことは一切話してくれなかったが、口ぶりから、また秘密の仕事に戻ったな、と直感した。CIAを辞めて約二十年、今度はCIAとは違う機関で外部コンサルタントをしているようだ。 ダレス国際空港でお茶を飲み、約一時間話ができた。
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