回顧録の出版で、アラン・グリーンスパンはすでに揺るぎない伝説的名声の輝きをさらに増そうとしたに違いない。だが、“The Age of Turbulence”(『波乱の時代』=邦訳は十一月中旬、日本経済新聞出版社刊)は、その意味においてはプラスよりもマイナスに働いている。 一九九〇年代後半、史上類を見ない好景気が長らく続いた米国経済を取り仕切ったFRB(米連邦準備制度理事会)議長として広く好感を持たれているグリーンスパンだが、今回ばかりはタイミングを誤った。米国のサブプライムローン危機が世界の金融市場に伝播し、悪影響を及ぼしていた九月に回顧録を上梓したことで、その内容は過去の正当化として懐疑の目を向けられることになったからだ。

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