ドン・プーチンとマイケル・メドベージェフ

執筆者:名越健郎 2008年2月号
エリア: ヨーロッパ

 ロシアのプーチン大統領(55)によるドミトリー・メドベージェフ第一副首相(42)の後継指名劇を見て、フランシス・コッポラ監督の映画「ゴッドファーザー」を思い出した。 シチリア・マフィアのボス、ドン・コルレオーネ(マーロン・ブランド)は、武闘派の長男らを避け、聡明で堅気の末弟マイケル(アル・パチーノ)を後継者に擁立した。タカ派のイワノフ第一副首相らよりも政権内最年少の穏健派メドベージェフ氏を可愛がったのと似ている。 メドベージェフ氏はサンクトペテルブルク出身の「サンクト・マフィア」内では珍しく、旧ソ連国家保安委員会(KGB)に属さなかった欧米寄りの民主派。しかし、マイケル同様ファミリー(サンクト派)の利権と権力は固守するだろう。

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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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