インテリジェンス・ナウ

内なるイスラム原理主義勢力にたじろぐパキスタン情報機関「ISI」

執筆者:春名幹男 2008年3月号
エリア: アジア

 昨年十一月、パキスタンのムシャラフ大統領が「文民」の大統領となり、兼任していた陸軍参謀長を辞任した。その後継の陸軍参謀長には、腹心のアシュファク・キアニ将軍が就任した。 そのキアニ将軍が二〇〇五年七月、日本政府の招きでひそかに来日していた事実はあまり知られていない。当時は、軍の情報機関、三軍統合情報部(ISI)長官だった。 パキスタンの「核開発の父」カーン博士は北朝鮮にウラン濃縮技術を供給。他方、パキスタンは北朝鮮から推定十二―二十五基のノドン・ミサイルを導入している。日本政府としては、北朝鮮の核兵器開発の現状だけでなく、ノドンの正確な性能も知りたかった。

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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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