ミャンマー軍政の「終わりの始まり」

執筆者:名越健郎 2008年7月号
エリア: アジア

 ミャンマー軍事政権は1989年、「ビルマ」を「ミャンマー」、「ラングーン」を「ヤンゴン」と英植民地時代以前の呼称に戻したが、日本人にとっては「ビルマ」「ラングーン」の方がしっくりくる。 戦後も僧侶として残留し戦友の遺骨を拾う日本兵を描いた竹山道雄の名作を「ミャンマーの竪琴」とは言えないし、「からゆきさん」もいた港町ラングーンの物悲しい響きは「ヤンゴン」では失われる。軍政のやることは、首都移転を含めどこか間が抜けている。 反政府勢力を徹底弾圧する軍政下では、ジョークも禁物だ。軍政を揶揄したコメディアンが逮捕され、禁固5年を言い渡されるなど、「ジョークを口にしただけで連行される」(ニューヨーク・タイムズ紙)という。

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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 拓殖大学海外事情研究所客員教授。1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所客員教授。国際教養大学特任教授、拓殖大学特任教授を経て、2024年から現職。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)、『ゾルゲ事件 80年目の真実』(文春新書)など。
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