バングラデシュ「建国の父」暗殺犯を大使館に招いたサウジアラビアの思惑

執筆者: 2008年11月号
エリア: 中東 アジア

 バングラデシュの首都ダッカにあるサウジアラビア大使館で九月半ばに開かれた夕食会に、バングラデシュの政治家らと共にモウヒディン・アハメドが招待されていたことがわかり、憶測を呼んでいる。モウヒディンは一九七五年八月のクーデターの際に、バングラデシュ「建国の父」である初代大統領ムジブル・ラーマンとその親族十五人を射殺した実行犯グループの一人とされる人物だ。 しかし、当時少佐だったモウヒディンは暗殺事件の後、クーデターで成立した政府によって大使に任命されサウジアラビアに派遣されていた(政権交代後バングラデシュから身柄引き渡し要求があったが応じず、事実上サウジが匿まっていた)ことを考えると、大使館による今回の招待も不思議ではない。その後、モウヒディンは七年近くアメリカに身を潜めていたが、昨年カリフォルニアで拘束されダッカに移送されて、現在裁判を待つ身だ。

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